ゴルフジャーナリスト・舩越 園子
日本は年が明けて令和2年を迎えたばかりだが、米ゴルフ界の新シーズンはすでに昨秋から動き始めている。
近年、米ツアーの賞金は年々高額化を続けており、プロゴルフ界の拡大成長はとどまるところを知らない様子だ。
◇議員が採決中にゴルフ観戦
王者タイガー・ウッズが腰の手術を受けるなどして戦線離脱していた間は、ゴルフ界全体のムードも沈みがちだった。だが、ウッズが昨年4月のマスターズを制してメジャー15勝目を挙げ、10月に日本で開催されたZOZOチャンピオンシップを制してサム・スニードの歴史的記録に並ぶ通算82勝目を達成したことで、ゴルフファンの熱中度は一層高まっている。
昨年暮れにオーストラリアで開催された米国チームと世界選抜チームの対抗戦、プレジデンツカップでは、ウッズが米国キャプテンを務めた。米国チームは初日から大きく出遅れ、優勝が危ぶまれていたが、2日目、3日目に徐々に盛り返し、米国内では最終日の個人マッチでの大逆転勝利が期待されていた。
熱狂的なゴルフファンは、米国の大逆転勝利をどうしても見たかったのだろう。最終日の個人マッチは、ちょうど米議会でトランプ大統領の弾劾訴追に関する議論と採決を行っていたタイミングであり、その真っただ中、議場の机の上のパソコンでプレジデンツカップのストリーミング中継を眺めていた議員が1人いた。
選手たちのプレー姿が映し出されているPC画面に見入る議員の背中。その様子がばっちり捉えられた写真や動画が、瞬く間にSNS上で拡散され、ちょっとした騒動になった。
国家の重要事項を討議している時に、議員がゴルフ中継を眺めているなんて「許されない」という批判の声が上がったが、その一方で「大統領杯の勝利を願い、エールを送るのは愛国心の表れだ」という主張でその議員を擁護する声も上がるなど賛否両論が巻き起こっていた。
◇1億円超から50万円
振り返れば、昨年の米ゴルフ界では「許す? 許されない?」の議論が頻出した感があった。
マット・クーチャーがメキシコで1億円を超える優勝賞金を手にしながら、現地で雇ったキャディーには50万円ほどしか支払っていなかったことが明るみになり、批判の嵐が吹き荒れた。
ウッズの元コーチだったハンク・ヘイニーは、韓国人女子選手たちに対する差別的発言を口にして、「許されない」と批判を浴び、米ツアーがサポートしているラジオ番組から降板させられるなど実質的に締め出された格好になった。
するとヘイニーは、自分の仕事が激減したのは、自分を締め出した米ツアーの責任だとして、驚いたことに彼は年末に米ツアーを提訴した。
もう一つ、大いに驚かされたのは2018年のマスターズ覇者であるパトリック・リードがバンカー内で素振りをした際、ソール(クラブの底部分)でボールの手前の砂を押し払い、打ちやすいように「ライの改善」を行ったことだ。
堂々とルールに違反する行為を行っていたリード。その様子は動画にばっちり撮られていたのだが、それでもなお「故意ではない」「カメラアングルのせいでライを改善しているように見えるだけ」とエクスキューズするリードの姿は、何とも見苦しかった。
詰まるところ、どの騒動も根底には高額賞金やプロゴルフ界で動くビッグマネーが見え隠れしている。
そう、米ゴルフ界は大いに潤っているというのに、そこに身を置く人々は妙にギスギスし始めている。大金を手に入れたい、失いたくないと思うあまり、金銭感覚がまひし、人間としてゴルファーとしてのあるべき姿も見失いかけているのではないだろうか。
「金は天下の回り物」だ。実力で勝ち取ったビッグマネーも、元をたどれば、人々のサポートがあってこそのもの。人々にお返しをする気持ち、手を差し延べる優しさを思い出してほしい。
そして、今年はゴルフ界のさらなる成長とともに、みんなの笑顔がもっと広がる米ゴルフ界になってほしい。
(2020年1月配信/時事通信社「金融財政ビジネス」より)
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January 28, 2020 at 08:32AM
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米ゴルフ界の騒動、あれこれ 〜賞金高額化で妙にギスギス〜【スポーツコラム】:時事ドットコム - 時事通信
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