取材の現場から
浮島グリーンが代名詞のピート・ダイが永眠 偉大な設計家の業績を川田太三が振り返る
彼が設計した最初の著名ゴルフ場は64年設立のクルックドスティック(インディアナ州)だが、次に手掛けたザ・ゴルフクラブ(67年設立、オハイオ州)の長年(83年から35年間)のメンバーだった川田太三氏に、ダイが今日のゴルフ界にもたらした功績を語ってもらった。
ダイとゴルフをしたこともある川田氏は開口一番、「コース造りに時間を惜しまなかった人」と評した。
その代表が80年開場のTPCソーグラスだ。同コースは、当時の米ツアーコミッショナーのディーン・ビーマンの求めによるもの。ビーマンは放映権をはじめ、巨大化した今日の米ツアービジネスの基礎を構築した人物だ。その彼がダイにオーダーしたのが「スタジアムコース」と呼ばれる造形で、そのためにダイはハザード造成で生まれた土砂をホール脇に盛るなど、ギャラリーが観戦しやすい空間を創造した。
「それを彼が時間をかけて手を加えた結果、いまや文句をいう選手は一人もいなくなりました」と川田氏。彼のコンセプトはその後次々と造られたTPCブランドの多くのコースに継承されている。
ダイのもうひとつの功績は、最近のゴルフ界で強く求められているサステナビリティ(持続可能性)だ。
もともとダイはロバート・トレント・ジョーンズSr. 設計コースのような芝地が美しく広がるゴルフ場を造っていた。ところが、80年代に入るとアメリカは景気低迷。水資源の節約も叫ばれるようになった。
そこでダイが採用したのが、イギリスのロイヤル・セントジョージズで目にした小さなティやウェイストエリアを導入し、法面(造成でできた斜面)には当時大量に廃棄されていた鉄道の枕木を再利用するなど、水やりや管理の手間を省けるコースづくりだった。
「こう考えるとこの時代だからこそ高く評価される設計家で、実際いま活躍する多くの設計家に影響を与えています」と川田氏は話を結んだ。
(ゴルフライター・小関洋一)
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