今、何合目…?©JGTOimages
日本ゴルフツアー機構 (JGTO)
昨年のV会見で石川遼は、13年から5シーズンを闘った米ツアーを”エベレスト”にたとえて「世界一の山を登ろうとしたけど、自分は軽装で行って、器具の使い方を間違ったり、体力不足でケガしたり。こんなに険しかったんだとわかって、途中で断念して、いったん降りてきました」と、語った。
さらに、再挑戦への思いも合わせて語り、その後、自身初の2試合連続優勝を達成した8月の「セガサミーカップ」や、12月のシーズン最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で年間最多の3勝を飾った際にもたびたび現状を、登山に見立てて話してきた。
あれから、ちょうど1年。
「今は、いったん降りてきたところに”休憩所”があるとすると、そこで、少し休憩しながら次の新たな登り方と、登山ルートを考えている感じ、ですかね」。
新型コロナウィルスの影響で、来年度に延期が決まった「日本プロ」の開催週に、昨年覇者の頭の中をちょこっと探ってみるシリーズ「遼イズム」。
連載3回目は「ゴルフノートとエベレスト」。
最初の”山登り”は小学校6年時にさかのぼります。
父親とのジュニア時代の思い出にもつながる「習慣」と「米ツアーへの思い」を改めて語ります。
昨年の日本プロの開催コースは薩摩富士とも呼ばれる開聞岳のふもと、いぶすきゴルフクラブ。1日遅れに開幕した初日はぶっつけ本番でしたが即、相性の良さを感じてそのまま完勝できました。 ©JGTOimages
「エベレストの休憩所って…、何合目ですかね? そもそも、エベレストに”何合目”という概念があるか分からないですけども。
今の自分の立ち位置や現状を、山にたとえて考えるようになったのは、小学校の6年生が最初です。
真剣に、プロを目指すか考え始めていた時、父親が、ノートに富士山の形をした山を2つ描いて『ここに「プロの山」と「アマの山」がある。遼は、だいぶゴルフが上手くなってきたけど、これからどちらの山を登りたいか』と、聞かれました。
父親は、僕が『プロの山』を選ぶと薄々は、わかっているんだけど、それでも『プロの山』は、あんまりおススメしないという雰囲気を、出していたと思います。
『父さんは「アマの山」だって十分、凄いと思うし、「プロの山」を目指したいなら練習法も、練習量も全然違ってくるけど、遼はどうしたい?』と。
苦しい時や、自分を見失いそうになった時に、ノートの最初のページに山を描いて、いま自分はどのあたりにいるのか見つめなおすようになったのは、この時がきっかけです。
開聞岳を背にしてティショットを打ついぶすきゴルフクラブの1番ホール。雲に隠れた感じも富士山に似ています。 ©JGTOimages
米ツアーは13年から5年いて、世界ランクは最高46位までしか行けていない。
30位から先の頂上を見ないまま、エベレストを降りてきてしまいました。
今度こそ、未知のその先にたどり着くには、次はどのルートを辿ればいいか。今、自分は山のどのあたりにいて、これから新たにどんな装備が必要か。今も常に考えながら、トレーニングや練習をしています。
先月から米ツアーが再開されて、(松山)英樹も再び世界の頂上を目指して歩きだしました。その様子をいま下から見上げている僕は、『英樹ならもっと早く登れるはずなのに』などと、つい思ってしまいますけど、僕はまだ、英樹がいま登っているところまでは、行ったことがない。いま、英樹がいる頂上近くの険しさを知らないから、そこを登る本当のキツさも分からない。
富士山も、五合目までは車で行けて、舗装された道から見ているだけならとても綺麗ですけど、実際に頂上を目指すとなると、めちゃくちゃキツい。
どの山も、下から見ているだけなら体力的にも楽ですし、今は無理だとそこに留まることも選べますけど、やっぱり僕は、英樹がいま登っているところの本当の険しさを、経験してみたいと思うし、もう一度、世界一への登頂に挑戦してみたいと思う。
自分の目標を、山に見立てて向き合うと、今の自分の本当の気持ちやそれに対してやらなければいけないことが、見えてきます。
辛い時や、うまくいかない時でも目標を見直して、いま自分は山のどのあたりにいるのかと、自覚できればマインド的にも自分を見失わないでいられる。
ゴルフノートとエベレストは、父親が僕に教えてくれた原点回帰のひとつの方法です」。
この坂を登り切ったら… ©JGTOimages
石川がジュニア時代につけていたというゴルフノート。
米ツアーから一度撤退し、いったん日本に軸足を戻した一昨年頃から、また書き始めたという。
ノートに山を描いて今、自分がどこにいるか確認しなおしてみる作業は年に2,3度ほど。
今年は8月の全米プロと、新型コロナウィルスの影響で6月から9月に延期された全米オープンの権利を得たことが分かったのは、つい先週だ。
実に5年ぶりのメジャー出場となる。
久しぶりの世界登山に向けて、装備のさらなる強化とルートの見直しが急がれる。
来年度に延期となった「日本プロ」の開催週に、昨年覇者の頭の中をちょこっと覗いてみるシリーズ「遼イズム」。
5日・日曜日の最終回は「セルフプレーはゴルフの原点」。
withコロナの時代を見据えた新様式のプロゴルフの実践と、展望について語ります。
※昨年の「日本プロ」の開催地となった鹿児島県をはじめ、九州地方では4日、豪雨による大きな災害が発生しています。
避難されているみなさまの安全とご無事を心よりお祈りするとともに、被害に遭われた方に心よりお見舞いを申し上げます。
日本プロ特別番組のお知らせ
昨年覇者が、歴代レジェンドらとチャリティテレビマッチで熱戦!
来年に延期となった「日本プロ」の特別番組「BIRDIE for JAPANチャリティーマッチ」が7月5日の15時ー16時25分に日本テレビ系列で放送されます。
石川遼は、倉本昌弘・PGA会長とのペアで深堀圭一郎&宮里優作と対戦。バーディやイーグル数に応じたチャリティ寄金をかけて、9ホールのテレビマッチで激突します。
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July 04, 2020 at 05:41AM
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<国内男子ゴルフ>日本プロ開催週企画「遼イズム」【3】ゴルフノートとエベレスト - スポーツナビ - スポーツナビ
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