コロナ禍の真っ只中、無観客で動き出した米ツアーの再開第4戦、ロケット・モーゲージ・クラシックを制したのは26歳の米国人、ブライソン・デシャンボーだった。が、その前日の第3ラウンドで彼が取った言動に「またか?」と苦笑したゴルフファンは少なくなかったはずである。
日本のメディアはデシャンボーに「天才科学者」などと、きわめて好意的な枕詞を付けている。だが、手厳しい米メディアはむしろたっぷりの皮肉を込めて、彼を「マッド・サイエンティスト(狂った科学者)」と呼んでいる。
「アイアンの長さは、すべて同一がベストだ。それは科学的根拠に基づいている」
学生時代から、そう主張していたデシャンボーが2015年全米アマチュア制覇後にプロ転向し、やっぱり同一レングスのアイアンをバッグに入れて米ツアーへやってきたとき、米メディアは半信半疑で、いや苦笑気味に、いやいや嘲笑さえしながら彼を「狂った科学者」と呼び始めた。
その後もデシャンボーは次々に風変りな「狂った科学者」ぶりを披露しては物議を醸したが、世間の喧騒や批判とは裏腹に、彼は着々と勝利を挙げ、昨年までに通算5勝の実績を築いた。
10キロ近く体重を増やした巨体。
そして、プロデビューから5年が経過した今年。新型コロナウイルス感染拡大で米ツアーが休止され、ほぼ3カ月後にようやく再開されたとき、初戦となったチャールズ・シュワッブ・チャレンジの会場に現れたデシャンボーの巨大化した姿に誰もが目を見張った。
20ポンド(≒9キロ)以上も体重をあえて増やしたという肉体は、ボディビルダーのように筋肉が盛り上がり、巨体から打ち放たれるドライバーショットの威力にトッププレーヤーたちが揃って度肝を抜かれた。
「ブライソンは軽々360ヤード、いや370ヤード以上を飛ばしていた。びっくりした。信じられない。ほとんど人間離れしている」
一緒に回った世界ナンバー1のローリー・マキロイは、大きな目をくりくりさせながら驚いていた。
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July 10, 2020 at 08:00AM
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ゴルフ界の嘲笑をひっくり返した男。デシャンボーは本当にわがままか?(舩越園子) - Number Web - ナンバー
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