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「ゴルフをする者は誰でも、少なくとも22オンスはある練習用のクラブを持っているべきです」――ハーヴィー・ペニック|ゴルフは名言でうまくなる|岡上貞夫 - gentosha.jp

「飛ばしたい人」も「安定させたい人」も素振りが最強

ゴルフのレッスン書は星の数ほどあるが、『ハーヴィー・ペニックのレッド・ブック』(日経ビジネス人文庫)ほどアマチュアのアベレージゴルファーに読まれたものはないだろう。

トミー・アーマーの『ベスト・ゴルフ』やベン・ホーガンの『モダン・ゴルフ』も100万部を超える売り上げだったようだが、『レッド・ブック』は発売後たった6か月で100万部を超え、第2作の『ハーヴィー・ペニックのゴルフ・グリーン・ブック』と合わせると300万部を超えたというから比較にならない。

ハーヴィー・ペニックの本に、技術的に「ああしろ」「こうしろ」というようなレッスンはほとんど見当たらない。「理論を教えないのが私のモットーだ。良い結果を生む単純なことしか教える気がしないのさ」と『レッド・ブック』にある。

実際、1時間近くも生徒がボールを打つのを黙って見て、ようやく言ったのが「アドレスでほんの少しフェースが開いているよ」の一言だけだったりする。

だがそれだけで、生徒の引っかけフック病が本当に治ってしまうのだから驚く。アドレスでフェースが開かないようにするということは、実はグリップを変えることになるのだが、「グリップを変えなさい」とは言わないところがペニック流レッスンの妙なのだろう。

グリップを「こう直しなさない」と言わないのはなぜか。フェースが開かないようにするのは、自分の感性に合うやり方で直すことが大事だと知っているからであろう。

表題の言葉は、『レッド・ブック』の「重いクラブをゆっくり、スローモーションで振る」の項に出てくる。私はこの内容をすっかり忘れていだが、最近読み直していてこの言葉を見つけ、ちょっと驚いてしまった。

というのも私は、日常のショット練習としてはもっぱら素振りをやっているのだが、使っているドライバーが673gで、偶然にもペニックのいう22オンス(約623g)に近い重量だったからだ。

私は以前にも、ジーン・サラゼンの次の名言を引用して、素振り練習の効果について紹介している

「重いクラブで素振りをすると、グリップとリストの力を強めるばかりでなく、スウィングで最も大切な正しい体重の移動、フットワーク、腰の回転、リズムなどを自然に会得するとともに、自分の悪いクセまで知らぬ間に矯正または予防する効能がある」

友人から「どうすれば飛ぶようになる?」「どうすればショットが安定する?」と質問されることは多いが、私の答えはいつも「素振りに限る」である。

飛ばしたい人は、素振りをすることでゴルフに必要な筋力だけを効率的に鍛えることができ、根気よく続けていればヘッドスピードは確実に上がってくる。

ショットを安定させたい人は、連続素振りをすれば、次第に体の動きから無駄がとれてスムーズなスウィングになり、再現性の高い、いいスウィングが身につく。

だから、飛距離を求めるゴルファーにも安定したショットを求めるゴルファーにも、素振りをすすめるのである。

基本さえ押さえれば、あとは自己流でいい

ゴルファーにはそれぞれの個性があるから、誰もが同じスウィングにはならない。しかし素振りは、その人の体格・筋力・感性に合った、最もスムーズで再現性が高く、最もヘッドスピードが上がるスウィングを自然と教えてくれるのだ。

とくに、いつも使っているクラブの2倍ぐらいの重量の練習用クラブで素振りをすると、否応なしに腕だけでは振れなくなり、サラゼンの言うとおり正しい体重移動、フットワーク、腰の回転、アームローテーション、リズムなどが自然と会得できる。

その結果、その人に合った、いいスウィングになる。「芯に当たる確率が高くなる」ことと「筋力アップによるヘッドスピード向上」の相乗効果で、飛距離も方向性もよくなるはずだ。

ゴルフスウィングは最初に基本を教えてもらうことが必要だ。レッスンプロや上級者に教わることが望ましい。しかし、基本をマスターしたあと、スウィングをどうしろこうしろというレッスンを受けることは、私はあまりおすすめしていない。

レッスンする側とされる側とでは感性が異なるにもかかわらず、スウィングの細部について「こうするのが一番、こうしなければうまくならない」というようなレッスンを受けても、感覚が合うことは少ないだろう。

ハーヴィー・ペニックのように、理論を教えるのではなく、よい結果を生む単純なことだけを教えてくれるのであればいいが、そういうレッスンができるティーチングプロはなかなかいない。

基本さえ押さえておけば、あとは自己流であっても、練習次第でシングルを目指せるようなレベルには十分なれる。その自己流を磨く練習に、素振りは最も効果を発揮すると思う。

そうして、1日20回だけでも素振りを始めた友人たちは、声をそろえて「当たりがよくなった」「飛距離が伸びた」「スコアが伸びた」というような効果を挙げ、報告してくれている。

屋内の素振りは、練習用クラブを改造して使う

一方で、「効果が上がるのはよくわかったので素振りをしたいが、場所がない」という友人もいる。たしかにクラブは長いので、素振りでブンブン振り回すのは、周囲に人がいては危険だ。

長くて重いクラブを振るほうが効果は高いので、私は45インチの古いドライバーのシャフトにホームセンターで売っている鉛の板を巻きつけ、それをテーピングテープで固定した素振り用クラブを使っている。

しかし、屋外でそんなドライバーを振り回すには、広いスペースが必要となる。また、たとえ一戸建てで庭にスペースがあっても、素振りの音がご近所迷惑ではないかと危惧する友人もいた。

そこで、『レッド・ブック』の「重いクラブをゆっくり、スローモーションで振る」の項をもう少しくわしく紹介しよう。

「(22オンスのクラブで素振りするとき)身体が痛くなるようなスウィングをしてはいけません。屋外に出られなければ、屋内で重いクラブをゆっくりとスローモーションで振ることです。スローモーションのスウィングはゴルフの筋肉を鍛え、脳に正しいクラブの位置を植え付けます。シャンデリアを壊す恐れもありません。

重たいクラブは、いつでも、ゆっくりであれ少し速くであれ、一定の目標にクラブを定めて振ってください。ゴルフに必要な筋肉を鍛えながら、そんな良い習慣も身につけましょう」

ひじや手首、肩、背中、腰などに痛みを覚えるほどの強い素振りが必要ないことは、私も友人に伝えている。なにしろ、みな65歳以上の前期高齢者がほとんどだ。

私自身も、素振りをしていて身体のどこかに違和感が出たら、休んだり、軽い素振りに変更している。

「素振りをする場所がない」というゴルファーには、ペニックのすすめる屋内でのスローモーションスウィングの素振りが救世主となるのではないだろうか。

いくらスローモーションで振るといっても、屋内でスウィングするには45インチのドライバーは長すぎて、家の天井やらなんやらを壊す可能性がある。ウェッジのような短いクラブや、ゴルフショップで売っている短い練習用クラブを重く改造して使うのが現実的であろう。

それでも、ペニック翁の言うとおり、「ゴルフの筋肉を鍛え、脳に正しいクラブの位置を植え付け」る効果が得られるとすれば、これは大きいと思う。そういえば、宮里藍プロも「太極拳スウィング」と称して、ゆっくりスウィングの素振りを取り入れていたはずだ。

私も、雨が降っている日などは素振りトレーニングを休むことにしていたが、スローモーションスウィングの素振りなら屋内でもできるので、今後取り入れていきたいと思う。

私の素振り用クラブ。上が屋外用の45インチドライバー、下が屋内用の短尺7番アイアン

素振りトレーニングは、どんなに個性的なスウィングのゴルファーであろうとも、その個性にマッチした効果が得られる方法だと断言したい。

アベレージゴルファーにはぜひ、一度は試してみていただきたいと思う。ガマンして1か月も続ければ、必ずなんらかの効果が実感できるはずである。

今回のまとめ

1. ゴルファーにはそれぞれ個性があり、スウィングにも個性があって当然。メカニカルに理想のスウィングへ自分をはめ込もうとするのは逆効果

2. 自分の個性に合った再現性の高い、いいスウィングを会得するには、素振り(連続素振り)が非常に効果的

3. 屋内の家練で素振りをするなら、短めのクラブに鉛板などで重量を加え、ゆっくりスローモーションスウィングで行う方法も効果が大きい

*   *   *

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参考資料:ハーヴィー・ペニック、バド・シュレイク『ハーヴィー・ペニックのレッド・ブック』本條強訳、日経ビジネス人文庫、2005年

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March 29, 2020 at 04:02AM
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