やっぱり試合は最高―。新型コロナウイルスの影響で高校野球の夏の甲子園大会が中止となり、球児たちが落胆する中、青森県内では24日、今月中旬に緊急事態宣言が解除されたことなどから、各チームが練習試合に臨んだ。昨秋以降、長らく実戦から遠ざかっていた球児たちは、代替えの県大会が行われることを信じ、試合ができる喜びをかみしめながらグラウンドで躍動した。
八戸市内では、昨夏の甲子園大会8強の八戸学院光星と、昨秋の県大会4強の八戸工大一が激突。保護者らが見守る中、白熱した戦いを繰り広げた。試合は1試合目が光星勝利、2試合目は引き分けだった。
球児たちは、集大成となる甲子園の県予選大会を失ったが、“代わりの舞台”があると信じて前を向く。工大一の宮古優希主将は今年初の実戦に「やっぱり試合は最高。できることに感謝したい」と笑顔。代替大会を熱望し、「仲間と最後まで戦い抜きたい」と決意を新たにした。
2年連続で夏の甲子園を目指していた八学光星の生徒も思いは同じ。1試合目に先発し、完封した森木光汰郎投手は「(代替えの)県大会があったら優勝して甲子園に行けたのは自分たちだったと証明したい」と力を込めた。
生徒たちが生き生きとプレーする姿を、指揮官や保護者も感慨深げに見守った。工大一の長谷川菊雄監督(43)は「やっぱり他校との試合は緊張感がある。選手のモチベーションも上がる」と目を細め、八学光星の仲井宗基監督(50)は「当たり前にできていたことが、今は当たり前ではない。野球ができることに感謝」としみじみと語った。
県高野連は現在、例年は甲子園の予選となる「夏の青森大会」の代替大会の開催を模索している。
今年から採用した工大一の練習試合用ユニホームに、初めて袖を通した息子の姿を見た宮古主将の父・光広さん(50)は「小学生のころから夢見た甲子園はなくなったが、野球一筋だった子どもたちの思いをくみ取る場を、大人たちが設けてやってほしい」と願いを込めた。
デーリー東北新聞社
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