2020年11月08日09時00分
◆ゴルフジャーナリスト・舩越 園子◆
コロナ禍で休止されていたゴルフの米ツアーは、6月から試合が再開されたものの、各大会のプロアマ戦は休止されたままだった。
「プロアマ戦はお遊びみたいなものだから、別にあってもなくてもいいじゃないか」という声も聞こえてくる。だが、選手たちが真剣勝負を繰り広げる4日間以上に、プロアマ戦は大事な位置付けにあると言っても過言ではない。
◆喜んで誘致する理由
プロアマ戦は大事な財源であり、得られる収益の大半は開催地の病院や施設、学校などへ寄付されている。
そうやって地元への還元があるからこそ、米国各地の都市やゴルフコースは試合を喜んで招き入れる。そして、地元へ還元するためのチャリティー寄金を増やすためには、プロアマ戦の開催は不可欠だ。
実際、「プロアマができないのなら、試合を開催する意味はない」として、伝統的な大会であるジョンディア・クラシックは、今年の開催を中止してしまったほどだ。
何としてもプロアマ戦を復活させなければと考えていた米ツアーは、まず下部ツアーとシニアのチャンピオンズツアーで試験的にプロアマ戦を行なった後、9月末にドミニカ共和国で開催されたコラレス・プンタカナリゾート&クラブ選手権で、ようやくプロアマ戦を再開。
そして10月上旬、ミシシッピ州で開催されたサンダーソン・ファームズ選手権で、コロナ禍の中では米国内初のプロアマ戦を行った。
本来、米ツアーのプロアマ戦には、やや規模が小さい「月曜プロアマ」と開幕前日の「水曜プロアマ」があり、同大会も月曜日と水曜日の両日でプロアマ戦を開催。結果的に「コロナ禍のプロアマ」は、従来のプロアマ戦とはずいぶん異なるものになった。
◆手押しカートがもたらしたもの
プロアマ戦は、プロ1人とアマチュア3~4人が1組となり、アマチュアはそれぞれキャディーを付けた上で、乗用カートでプレーするのが通例だった。
しかし、「コロナ禍のプロアマ」では、感染防止対策上、「アマチュアはキャディー禁止」となり、全員がセルフプレーとなった。そのため、各組のプロの専属キャディーが、自分のボスであるプロと3~4人のアマチュア全員分のバンカーならしやボール拭き、ボール探しを全て1人でやることになり、大忙しになってしまった。
だが、プロたちもプロキャディーたちも「コロナ禍のプロアマは、従来のプロアマより格段に素晴らしい」と賞賛している。
「今は9ホールを軽々2時間半以内で回っている。このスピード感が何よりも素晴らしい」
そう、従来のプロアマ戦はノロノロ進行で、1ラウンドに5時間半から6時間を要していた。なぜ、今回はスピードアップできたのかと言えば、その秘密は、キャディーの代わりに、アマチュアに手押しカートを1台ずつ付けたことにあった。
◆誰もがハッピー
乗用カートを使用していたときは、キャディーからアマチュアへのクラブの受け渡しに時間がかかっていたのだが、アマチュア自身が手押しカートに自分のゴルフバッグを乗せて歩くことで、必要なクラブを即座に取り出すことが可能になり、プレーの進行が大幅に速まった。
大会側は開幕前に手押しカート250台を購入し、アマチュア全員に支給。「プロアマ戦で使用した後は、自宅へ持ち帰っていいですよ」という具合に、プロアマ出場の新たな必需品を、そのままお土産にして、アマチュアを喜ばせるところが、なかなかうまい。
そうやってプロアマ戦が行なわれ、収益が得られれば、1億~2億円を地元コミュニティーに寄付することができ、大会側も地元も、選手もキャディーもアマチュアも、誰もがハッピー。
その全てのカギとなったのが、人工知能(AI)や近代テクノロジーの産物ではなく、これまでの試合会場では見かけることすらなかった原始的な手押しカートだったことが、何となくおかしくて、クスッと笑ってしまった。
(時事通信社「金融財政ビジネス」2020年10月19日号より)
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November 08, 2020 at 07:00AM
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米ゴルフツアーの試合開催になくてはならないもの【スポーツコラム】 - 時事通信ニュース
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